本院で消化器内科を受診され自己免疫性胃炎と診断を受けた患者さん・ご家族の皆様へ
~診断時 (2019年4月1日~2023年9月30日まで) に採取された病理組織検体、保存血清、摘出された腫瘍組織及び診療情報の医学研究への使用のお願い~
研究課題名】
自己免疫性胃炎における胃発癌のリスク検討
【研究の対象】
この研究は以下の方を研究対象としています。
2019年4月~2023年9月に当院で内視鏡検査、血液検査、病理組織検査をうけて自己免疫性胃炎と診断された方。
【研究の目的・方法について】
Helicobacter pylori感染性胃炎(以下、ピロリ菌胃炎)では、ピロリ菌感染により胃粘膜が損傷を受け、胃粘膜が萎縮という変化を起こし、幽門腺化生、腸上皮化生といった前癌状態の状態になり、胃発癌に至るという経路が想定されています。
一方、自己免疫性胃炎でも、抗壁細胞抗体と呼ばれる自己抗体の存在により胃粘膜が損傷を受け、萎縮性胃炎の状態となります。しかし、萎縮性胃炎を背景として、幽門腺化生、腸上皮化生の状態になったとしても、胃発癌に至ることはないと欧米では考えられています。しかし、本邦からの研究報告によると、自己免疫性胃炎の患者さんのなかには、一定頻度で胃癌の合併があるといったことが報告されています。
本研究では、自己免疫性胃炎で胃癌を合併した患者さんと胃癌を合併しなかった患者さんを比べて検討することで胃発癌の機序(どのようにして胃癌ができたのか)を調べることを目的としています。自己免疫性胃炎の患者さんから診断、治療目的で採取、摘出された胃腫瘍粘膜、非腫瘍粘膜組織および保存された血清を用いて、両者の違いを明らかにします。
将来自己免疫性胃炎の患者さんにおける胃発癌のリスクの層状化(リスクが高いか低いか)に役立つ可能性があります。
研究期間:(医学部長実施許可日)~2025年3月31日
【使用させていただく試料・情報について】
本院におきまして、既に胃癌(胃腫瘍)の治療を受けられた患者さんの癌組織(試料)および非腫瘍部の胃粘膜組織を医学研究へ応用させていただきたいと思います。また、対象期間内に「抗ヘリコバクター・ピロリ CagA 抗体の迅速検出キットの精度評価ならびに組織学的胃炎との関係についての研究」に同意を得て、胃粘膜組織、血清を採取させて頂いた患者さんの保存検体を本研究に用いたいと思います。その際、腫瘍や胃粘膜組織を調べた結果と診療情報との関連性を調べるために、患者さんの診療記録も調べさせていただきます。
なお、本研究に患者さんの癌組織(試料)及び診療情報(記録)を使用させていただきますことについては、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、特定の個人を識別できないよう加工したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
【使用させていただく試料・情報の保存等について】
癌組織(試料)の保存は論文発表後10年間、診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、癌組織(試料)は焼却処分し、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。
【外部への試料・情報の提供】
本研究で収集した試料・情報を他の機関へ提供することはありません。
【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
【研究資金】
本研究においては,公的な資金である大分大学医学部消化器内科学講座の寄付金を用いて研究が行われます。
【利益相(りえきそう)反(はん)について】
この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。
【研究の参加等について】
本研究へ癌組織(試料)および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
【研究組織】
所属・職名 氏名
研究責任者 大分大学消化器内科学講座 教授 村上 和成
研究分担者 大分大学消化器内科学講座 准教授 水上 一弘
大分大学医学部 先進医療学科 教授 兒玉 雅明
大分大学医学部 消化器内科学講座 医員 福田 昌英
大分大学医学部 消化器内科学講座 医員 堤 康志郎
【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-586-6193
担当者:大分大学医学部消化器内科学講座 医員 福田 昌英(ふくだ まさひで)