本院でピロリ菌(H.pylori)の検査・除菌治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~検査時 (平成10年1月から平成25年9月まで) に採取された血液の医学研究への使用のお願い~
【研究の目的について】
この研究の目的は、Helicobacter pylori (以下 ピロリ菌)感染の診断に用いられる、「抗体法」について、現行の検査試薬より、感度や測定方法を改良した新規検査試薬の試作品について、その性能評価をおこなうことです。ピロリ菌は、ヒトの胃粘膜に好んで生息する細菌であり、近年、胃炎や消化性潰瘍、胃癌などとの関連性が明らかになってきている細菌です。除菌をおこなうことで胃癌のリスクをゼロにすることはできませんが、早期に除菌をおこなうことで、胃癌発症リスクを軽減することができます。ピロリ菌感染の診断には、内視鏡を用いる「培養法」「迅速ウレアーゼ法」「組織鏡検法」や、内視鏡を用いない「尿素呼気試験法」「抗体法」「抗原法」などがあります。ピロリ菌の感染を診断する方法の1つである「抗体法」は、現在、ピロリ菌感染診断の一助として、また、胃の健康度チェックとして近年注目されているABC分類などにおいて、広く浸透している検査法の1つです。
しかしながら、現在、国内で主に使用されている「抗体法」の検査試薬は、いくつかの改善すべき点が指摘されています。本臨床研究においては、この「抗体法」の検査試薬の問題点を改善すべく、新たな「抗体法」検査試薬の性能評価をおこないます。
【使用させていただく組織(試料)等について】
本院におきまして、既にピロリ菌の検査・除菌治療を受けられた患者さんの血液(試料)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、血液を調べた結果と診療情報(例えば内視鏡所見がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(カルテや内視鏡画像など)を調べさせていただくこともあります。なお患者さんの血液(試料)及び診療記録(カルテ)を使用させていただきますことは本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認された後に行います。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「臨床研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
【使用させていただく血液(試料)の保存等について】
血液(試料)の保存は5年間(平成26年1月16日から平成30年12月31日まで)を基本としており、研究終了後は、血液(試料)を焼却処分します。ただし研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合は5年間を超えて保存させていただきます。
【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来、ピロリ菌の新たな検査方法などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
【研究資金】
本研究においては,公的な資金である消化器内科学講座の基盤研究費ならびに寄付金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。
【利益相反について】
この研究は,企業との共同研究として行われますが、企業からの資金調達は一切ありません。これにより研究結果が影響を受けたり、あなたの権利・利益を損ねることはありません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反」(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。
【研究の参加等について】
本研究へ血液(試料)を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に血液(試料)を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの血液(試料)は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの血液を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の研究責任者までお申し出下さい。
【研究責任者】
879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部消化器内科学講座 教授 村上 和成
電話番号 097-586-6193