臨床研究の情報公開

本院で炎症性腸疾患の治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~治療中の臨床データの医学研究への使用のお願い~


当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、別の研究で得られた過去の記録を用います。このような研究は厚生労働省の定めた「臨床研究の関する倫理指針」の規定により、研究内容の情報を公開することが必要とされております。この研究に関する問い合わせ等がありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。

【研究課題名】

炎症性腸疾患患者における潜在性結核感染症の現状に関する多施設共同研究

【研究の対象】

 この研究は以下の方を研究対象としています。
2010年7月1日〜2020年6月30日に当院で炎症性腸疾患の診療歴を有し、潜在性結核感染症と診断された方

【研究の目的・方法について】

研究目的:大腸および小腸に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、大きく潰瘍性大腸炎とクローン病が挙げられます。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる疾患で、下血や粘血便、下痢、腹痛などの症状が見られます。一方、クローン病は小腸や大腸を中心に口腔から肛門までのすべての消化管に炎症や潰瘍が出現する疾患で、腹痛や下痢、体重減少などの症状が出現します。両疾患ともにいまだ原因は不明ですが、食物や腸内細菌に対する異常な免疫反応が原因と考えられています。
これらの疾患では慢性・持続性に腸の炎症が続くため、放置すると様々な腸の合併症が出現したり、手術が必要になったり、重症の場合には生命に危険を及ぼしたりすることがあったりするため、腸の炎症をきちんとコントロールすることが重要です。そのための内科治療として、薬物療法であるアミノサリチル酸や免疫を抑える副腎皮質ステロイド、チオプリン製剤、生物学的製剤や低分子化合物等が使用され、薬物療法以外には栄養療法や血球成分除去療法などが行われてきました。様々な内科的治療により、炎症性腸疾患の治療成績は良好となっていますが、治療による感染症の増加、特に結核感染の発症率が免疫を抑える治療を必要とする炎症性腸疾患の患者さんにおいて治療による感染症が1.6〜25.1倍と増加することが分かっており、重要な課題となっています。
 そのため、免疫を抑える治療を必要とする炎症性腸疾患の患者さんでは、それらの薬剤を開始する前に結核のリスクがないかの評価(潜在性結核感染症をもっていないか)を行い、その検査結果によっては潜在性結核感染症に対する予防内服を行った後に、炎症性腸疾患に必要とする免疫を抑える薬物を投与するように決められています。しかし、適切に治療を行っても結核発症は完全に予防はできません。また、最初の検査では異常とならなかったのに、治療中に結核を発症したという報告も実際にあります。結核を発症した場合には、重篤な病態となりやすいことも問題です。
 わが国の結核罹患率は10万人対13.9(2016年現在)と以前と比べると低くなっており、結核は日常で頻回に診療する機会のある疾患ではありません。潜在性結核感染症は比較的に高齢者に多く、若年層に患者さんが多い炎症性腸疾患患者における頻度が低いため、炎症性腸疾患患者さんにおける潜在性結核症の報告は少数例のものが多く、現状についてのまとまった報告は殆どありません。
そのため、我が国における炎症性腸疾患患者さんにおける潜在性結核感染症の現状について多施設共同研究にてデータを収集し、炎症性腸疾患患者さんにおける潜在性結核感染症の適切な検査方法やタイミング、原疾患に対する治療選択への影響等を検討することを目的に本研究を計画しました。
方法:該当する患者さんを対象者として登録し、診療情報をカルテから取得します。
収集された情報は各施設において匿名化し、本研究の代表施設である佐賀大学医学部消化器内科へ提供し、データベースの構築を行います。得られたデータを用い、本研究の検討を行います。

研究期間:2020年12月21日~2022年3月31日

【使用させていただく情報について】

 カルテから取得した以下の診療情報を用います。
施設名、病名、性別、年齢、治療歴、結核の家族歴・既往歴、検査歴、合併症や副作用などの発生状況 等

【使用させていただく情報の保存等について】

当院で収集された情報は匿名化し、佐賀大学医学部消化器内科に集約されます。佐賀大学医学部消化器内科から共同研究機関に情報を提供することはございません。
佐賀大学に集約された診療情報は論文発表後5年間または論文の最終公表についての報告から3年間のいずれか遅い日までとしており、本院で保存するものについては論文発表後10年間保存します。保存期間終了後はシュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。

【外部への情報の提供】

本研究の主施設である佐賀大学への患者さんの情報の提供については、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。なお、佐賀大学へ提供する際は、研究対象者である患者さん個人が特定できないよう、氏名の代わりに記号などへ置き換えますが、この記号から患者さんの氏名が分かる対応表は、大分大学医学部消化器内科講座の研究責任者が保管・管理します。
 情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
  佐賀大学医学部消化器内科    江崎 幹広
  大分大学医学部消化器内科学講座 村上 和成

【研究組織】

  【本学(若しくは本院)における研究組織】
研究責任者  大分大学医学部消化器内科学講座         教授     村上 和成
研究分担者  大分大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 准教授    水上 一弘
      大分大学医学部消化器内科学講座            病院特任助教 都甲 和美

【研究全体の実施体制】
研究代表者   佐賀大学医学部 消化器内科 江崎 幹広
研究分担者    
芦屋中央病院      病院長 櫻井 俊弘
北九州市立医療センター 統括部長 秋穂裕唯
九州大学病院 光学医療診療部 助教 藤岡 審
久留米大学病院 医学部 内科学講座 消化器内科部門 教授 光山 慶一
産業医科大学病院 内視鏡部 診療教授 芳川 一郎
製鉄記念八幡病院 消化器内科 部長 中村 滋郎
戸畑共立病院 消化器病センター 副院長 宗 祐人
福岡大学筑紫病院 外科 診療教授 二見 喜太郎
福岡大学筑紫病院 消化器内科 助教 高津 典孝
福岡大学病院 消化器内科 教授 平井 郁仁
嬉野医療センター 消化器内科 医長 山口 太輔
長崎大学病院 医療教育開発センター 医科卒後研修部門 
医師育成キャリア支援室 室長 講師 松島 加代子
長崎医療センター 消化器内科 医師 中島 悠史朗
社会医療法人春回会 井上病院 消化器内科 東 俊太朗
大分大学病院 消化器内科 教授 村上 和成
石田消化器IBDクリニック 院長 石田 哲也
熊本大学病院 消化器内科 講師 直江 秀昭
鹿児島大学病院 光学医療診療部 講師 上村 修司
いづろ今村病院 消化器内科 副院長 大井 秀久
潤愛会 鮫島病院 内科胃腸科 内科部長 西俣 伸亮
宮崎大学医学部附属病院 消化器内科 講師 山本章二郎
潤和会記念病院 外科 外科部長 佛坂 正幸
琉球大学医学部附属病院 第一内科 消化器内科 助教 金城 徹
浦添総合病院 消化器内科 顧問 金城 福則
那覇市立病院 消化器内科 科部長 豊見山 良作

  研究事務局   佐賀大学医学部 消化器内科 鶴岡 ななえ
          佐賀大学医学部 消化器内科 武富 啓展

【患者さんの費用負担等について】

本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来薬物などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

【研究資金】

 本研究においては,公的な資金で大分大学医学部消化器内科学講座の寄付金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

【本研究に係る利益相反について】

 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

【研究の参加等について】

本研究へ参加するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に臨床データを使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの臨床データは研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。患者さんの診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。

【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
  電 話:097-549-4411
  担当者:大分大学医学部消化器内学講座 都甲 和美(とごう かずみ)